世界で3位を誇るギャンブル大好き国。ギャンブル依存症536万人!うわお。
おはようございます!
今日は皆様のご予定は?
多くの精神科、心療内科の医師が外来で苦手とする患者さんがいます。それは、ダントツにこの3つです。パーソナリティ障害、発達障害、依存症でしょう。
その理由は、明らかでお薬よりも精神療法が効果あること、再発性が高いことです。特に依存症は、その中でも本日お話するギャンブルにかぎらず、アルコール依存、ゲームやスマホ依存、ドラッグ依存、セックス依存、タバコと範囲が広いものです。
今回は、最近質問される「ギャンブル依存」についてはなししましょう。
今日のお話は、この本を読めばかなりわかります!興味あるひとは購入されて下さい。
最近の有名な例で言えば、
・大王製紙の創業家経営者である井川意高が2010年4月から2011年9月までの総額で100億円を超える金を不正に引き出していた事件(ウィキ)。
・パチンコ代欲しさに殺害する例や車に幼児を置いて熱中症で亡くなる事件も毎年ニュースになっていますよね。
これ全部、ギャンブル依存症なんです。アタマの中が、ギャンブルの快感で麻痺して、それしか考えていない、ギャンブルをやらないと気が済まない状況なのです。
ギャンブル依存は、アルコール依存と全く同じ!
ギャンブル障害(依存)の診断基準を見てみましょう。
躁病ではなく、臨床的に意味のある機能障害または苦痛を引き起こすに至る持続的かつ反復性の問題賭博行動で、その人が過去12ヶ月間に以下のうち4つ以上を示している。
① 興奮が得たいがために、掛け金の額を増やし賭博を欲求
② 賭博をするのを中断したり、または中止したりすると落ち着かなくなる、または苛立つ
③ 賭博するのを制限する、減らす、または中止したりするなどの努力を繰り返し成功しなかったことがある
④ しばしば賭博に個々を奪われている
⑤ 苦痛の気分のときに賭博をすることが多い
⑥ 賭博で金をすった後、別の日にそれを取り戻しに帰ってくることが多い
⑦ 賭博へののめり込みを隠すために嘘をつく
⑧ 賭博のために、重要な人間関係、仕事、教育、または職業上の機会を危険にさらし、または失ったことがある
⑨ 賭博によって引き起こされた絶望的な経済状況を免れるために、他人に金を出してくれるよう頼む
★ 軽度:4−5項目、中等度6−7項目、重度8−9項目に当てはまる
これを見て、アルコール依存の要件と非常に似ていると思いませんか?「賭博」→「アルコール」に変えるとあら不思議、アルコール依存症と似てきます。賭博もアルコールも辞めたいのに辞められないことから社会生活、日常生活がまわらなくなることを言います。
ギャンブル依存症は、推定536万人
ギャンブル依存者は、ネット依存やアルコール依存に比べても多いはずだが、今まで実態がわかっていなかった。海外と比較しても多い。
第2回依存症者に対する医療 及び回復支援に関する検討会発言から
ギャンブル依存は治療開始前まで20年かかる
ギャンブル依存の研究によれば、20歳前後でギャンブルを始めることが多いそうだ。特に大学生でパチンコやスロットをやり始め、そこから始めて借金するまで約7年、そして社会生活がまわらないのにさらに12年、合計20年間ギャンブルで人生を台無しにするのです。
ここで注目すべきは、「配偶者」であり、ギャンブル依存症に配偶者がいた場合、約15%で何らかの精神科疾患を有する可能性があり、鶏卵になってしまうが、事実として配偶者の負担が大きいようです。
ギャンブル依存の危険性:自殺企図が40%!
ギャンブル依存は、最終的に自殺ということが隣り合わせです。経済的にも社会的にも家庭的にも問題を抱える依存は、自殺の危険性がかなり高くなります。
・ 自殺念慮とは、自殺を考えていることです。ギャンブル依存の場合1年以内に考えるのが約27%。
・ 自殺企図とは、実際に自殺を企てて実行することです。生涯経験率は約41%です。アルコール依存や薬物依存と同等のリスクがあり、うつ病よりも断然高いのです。
ギャンブル依存の種類は、8つ。13,000ヶ所!
ギャンブルとされるものってどの種類がどのくらいあるか知っていますか?
1.公営6種類:競馬、競艇、競輪、オートレース、スポーツ振興くじ、宝くじ
・競馬:中央競馬10ヶ所、地方競馬17ヶ所
・競艇:24ヶ所
・競輪:43ヶ所
・オートレース:6ヶ所
2兆6千万の市場。
2.民営2種類:パチンコ、スロット
パチンコは全国に12,000店あります。1つのコンビニと同じくらいです。ギャンブル機器にすると460万台ということのようです。凄い!
人口比でみると、No.1:セントマーチン島(11人に1台)、No.2:モナコ(23人に1台)、No.3:日本(30人に1台)
20兆円の市場。笑
ギャンブル依存症の治療法
これだけの利権と人生を狂わせるギャンブル。
そこにはまってしまったひとはどのようにして、その強迫観念的な考えから抜け出すのでしょうか?
google検索で「gamble addiction treatment」と入力すると非常に多くのしっかりとしたサイトが出てくることにびっくりします。やはりアメリカは、グループセラピー等の治療法が本当に確立して、「普通」なんだと思ってしまいます。ハリウッドスターがドラッグやアルコールで入院治療したなーんて話多いですものね!
1.入院リハビリプログラム
2.外来リハビリプログラム:1対1セラピーやグループセッションプログラム
3.GA(ギャンブラーズアノニマス、自助グループ)12ステッププログラム:
アルコールの自助グループと同じようなプログラムが生まれたようです。
日本全国のGA開催場所や情報は↓↓↓ここでチェックできます!
4.精神療法や認知行動療法(CBT)
5.薬物療法:効果は極めて限定的、双極性障害(躁うつ病)の場合には効果あり
ということです。
ギャンブル依存症は、依存を引き剥がす作業なので、このようなGAのちからは不可欠でしょう。多くのギャンブル依存の方のコメントを読んでもGAの効果は絶大と言っています。
以上、ギャンブル依存についてでした。
わたしもこの本を読むまでは、知らないことだらけでしたが、こんなにも日本の中にまで入り込んでしまっているんですね!ニュースで見る事件を起こすお母さんは、「未熟」なのではなく、「依存症」という見方をするとそのような事件も違った形で見えてくるかもしれません。
それでは今日1日も楽しく過ごされて下さい!
私も患者さんといっぱいわくわくします!
ciao!
追伸…こんなものも↓↓↓