☆ わくわく働くひとを応援する産業医のブログ ☆

わくわく働く社会を創る。そう決めて起業しました。社内ヘルスケアだけでなく人事総務の領域全般、医療や病院管理とお話しましょう。

悩みのパターンを知って、対処していく

おはようございます!

今日はこんなケース見てみましょう。

 

『32歳女性、4月入社時とても明るく前向きだったが、11月から少し暗く、病欠も増えてきた。本人から話を聞くと、半年たって仕事も慣れてきたし、職場の環境も非常に良いと思っている。何より人間関係が良いとのこと。11月は3日、12月は5日休んでしまったという。』

 

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悩みのパターン:「たられば」ループ

女性は35歳前後、男性は55歳前後で「悩み事」が増える印象をわたしは持っています。女性の35歳前後は、結婚であったり、子どもであったり、仕事との兼ね合いだったり。男性の55歳前後は、子どもの就職のことであったり、セカンドライフのことであったり、妻との関係であったり、親の介護の問題と様々なことが押し寄せてくる年なのです。

 

そうすると本来悩まなくてよいことでも悩み始めるひとがいます。その多くが「たられば」状態です。「もし◯◯だったら」、「もし××であれば」といった仮定を設定して、繰り返しそのことでループを作り、同じことや同じことのようなことで妄想をふくらませます。

仕事が過度に忙しくなり、業務上のミスをした場合にもこのような思考パターンに入る場合があります。

 

 

 

32歳の悩みの場合…パターンを知って対処する

この例にあげた32歳の女性の場合、大好きな祖母が入院したことをきっかけに、父親も不安定になっているのを「心配」していることが原因でした。もし祖母がなくなったら、父親はどうなっちゃうんだろう・・・といった不安を仕事中も考えてしまうということでした。もちろんパフォーマンスもあがりません。

朝起きるとその心配が始まります。今日は大丈夫かなぁ〜とか何もしてあげられていない…してあげたいのに仕事があるから出来ない…といったことで自分を責め始めます。

そうなるともう完全に入り込みます。寝つきも悪くなり、睡眠の質も下がるために、朝起きても疲れが取れていないという状況になり、負のスパイラルが始まります。

そんな病欠が12月にあったときに、わたしの前に産業医面談で人事から依頼があったのです。

 

 

 

悩みに対処する:コントロールできる問題とできない問題に分ける

このようにどっぷり入り込んでいるときって、誰でも経験があると思いますが、本当にきつくてつらいんです。抜けだそうという考えがそもそも浮かびないし、入り込んでいることにも気が付かないんです。

彼女と話をして、いくつか修正する必要があると伝えました。

① 「たられば」がいまのあなたのマインドを侵している

② コントロールできる問題とできない問題がある

③ コントロールできない問題で悩むと負のスパイラルに入る

④ コントロールできる問題とは「自分のこと」、できない問題はそれ以外の現象。それは祖母のことであったり、父親のことであったり

⑤ 自分の日常生活と社会生活をまわすことを何よりも優先とし、自分に余裕があるから相手のことをケアできる

⑥ 自分の生活をまわした上で、その上で発生している事実に対して具体的に何をどのくらいできるだろうか?と考える

 

って言ったんです。もちろん彼女は全部メモって。

多くの「たられば」ループは、コントロールできない問題をアタマの中で膨らませて、解決したのかしていないのかわからないような中途半端な状況を繰り返していきます。

 

従って、もうひとつの方法として、「可視化」することはかなり効果的です。「コントロールできる問題とできない問題」という切り口や、「悩み一覧」という形でひたすら気になることを書き出すやり方もあります。

毎朝、そのときの不安を全て書き出して、夜帰ってきてからそれが実際に起こったのか確かめて、1個1個丁寧に削除して、自ら結局はこの不安って起こらなかったよね?って実感することも良いやり方です。

 

 

 

悩みに対処した結果…2ヶ月後

彼女とは2ヶ月後に会うことが出来ました。話を聞いてみると、約1ヶ月前くらいから雲がかかっていたものが、すーっと晴れるような感覚があったとのこと。

これは良いことと思い、「何が変わったんだろう?何を変えたの?」と聞いてみました。

そうすると彼女は、

何かしてあげないとという気持ちが、「できること」をやってあげるという考え方に変わった。親が心配していたら5分でも聞いてあげるとよいなと思った。やってあげなきゃというだけでやってあげていなかったことがストレスだった。

と答えたんです。

そうなんです!

この「たられば」で最もつらいのが、「やってあげたいと気持ちでは思っているのに、結局何もしていなかったという行動」がストレスと不安感をより高めるのです。

だから少しのアクションで良いので、まずは自分の生活をまわしてから、具体的な行動を少しずつやることで「何かをしてあげた」という満足感を得ることに繋げられるのです。悩みは、具体的な行動をすれば吹き飛ぶのです。

 

結局、朝起きて嬉しいという気持ちで仕事も楽しい。仕事の中での目標もできて、それを実現したい。そのために仕事は頑張る。上司からも最近の彼女は見違えるほどコンディションが良いとのフィードバックだった。

 

 

 

悩みのパターンを振り返ってみると・・・

今回のことで彼女が学んだことは、

「コントロール出来ることと出来ないことがあり、出来るコトを具体的な行動におこす」

だったと思います。

このように入り込みすぎたときに唯一引っ張り出せる存在が、「友人」や「家族」なのです。だから普段から会話をとって、考えが入り込みすぎていないのか、ひとつの面からしかみていないのではないかを確かめる必要があるのです。

 

この先も悩むことはいっぱいあります。マインドをこのように整理すると乗り越えられることがいっぱいあります。

 

ではでは〜

ciao...