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わくわく働く社会を創る。そう決めて起業しました。社内ヘルスケアだけでなく人事総務の領域全般、医療や病院管理とお話しましょう。

スッチーは皮膚に気をつけろ!?

こんな文献は産業医からすればとても興味深い。

JAMAにある2014年の論文です。

「The Risk of Melanoma in Airline Pilots and Cabin Crew A Meta-analysis」

 

飛行機のパイロットやスチュアーデスのメラノーマ(皮膚がん)のリスクについての文献です。


Cancer mortality among radiological technologists in Japan: updated... - PubMed - NCBI

この2015年のJAMAは、それまでの論文、たとえばBMJから2002年にデンマークフィンランドアイスランドノルウェースウェーデンで約1万人のパイロットを17年間追いかけたものも含まれるメタ解析です。

 

航空機のパイロットとスッチーは、職業上紫外線に暴露している!?

パイロットとスッチーは、一般人と比較して放射線や紫外線を浴びる量が多く、それによってメラノーマ(悪性黒色腫、皮膚がん)のリスクが高まるのかわかっていませんでした。

 

今回、19の研究が含まれ、26万6,431名の対象者から得られた結果です。

 

パイロットが2.22倍、スッチーが2.09倍メラノーマにかかりやすい!

パイロットやスッチーは、放射線と紫外線の曝露量が多いために約2倍皮膚のがんになりやすいことがわかりました。

他の文献も見てみましたが、やっぱり皮膚がんが圧倒的に多いです。

他の研究で白血病が1.22倍かかりやすいという文献もあります。

もともと、時差によるメラトニン分泌の抑制によるものか?それともジェット燃料や航空機を作る材料で発生しているのか?とも言われていました。

一般人は、自然界で電離放射線のばく露を2.4mSv受ける中で、パイロットやスッチーは、2-6mSv被曝すると言われています。

 
同じような職業はないのか・・・見てみますと、身近にレントゲン技師がいます。
 

レントゲン技師はどうするのか?

安心して下さい。日本人を対象とした研究が1999年の発表されています。
12,195の男性放射線技師を対象に、1963年から1993年まで追いかけて、1,097の死亡を研究したものです。
これによれば、白血病が1.75倍になる以外には全く問題がないということが言われています。
 
ちなみに電離放射線障害防止規則という法律で「事業者は放射線業務従事者の受ける等価線量が、眼の水晶体に受けるものについては一年間につき百五十ミリシーベルト、皮膚に受けるものについては一年間につき五百ミリシーベルトを、それぞれ超えないようにしなければならない」
とされており、
「前年一年間に受けた実効線量が五ミリシーベルトを超えず、かつ、当該健康診断を行おうとする日の属する一年間に受ける実効線量が五ミリシーベルトを超えるおそれのない者に対する当該健康診断については・・・医師が必要と認めないときには、行うことを要しない」
とあるように5 mSvを超えなければひとまず安心ということでしょうか。