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わくわく働く社会を創る。そう決めて起業しました。社内ヘルスケアだけでなく人事総務の領域全般、医療や病院管理とお話しましょう。

健康診断って受けた方がよいんですか?

おはようございます。土曜日ですね!

今日は、健康診断についてお話したいと思います。これまでも多くのひとから特に日本人は、健康診断をやって早期発見・早期介入をすれば、病気は良くなる!寿命が伸びる!と信じている人多いですよね。

 

 

 

健康診断を受けましょう〜!?

日本最大級の健康保険組合協会けんぽ」のHPにはこんなトップ画面が。

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健康診断って受けるとやっぱり良いのかな〜と思うわけです。

でも面倒だったり、お金もかかるし、会社からも言われるし…

注意!)会社から健康診断を受けるのは、会社の安全配慮義務を果たすためであり、適切な業務量や内容を付与するために法律で定められている義務です。ここでは「一般的な」健診についての記事となります。法定健診は必ず受けてくださいね〜!

 

 

 

健康診断は受けないと寿命が短くなるのか!?

では本題に入って、健康診断(検診ではありません!後ほどこの違いについて説明します)は本当に意味があるものなのでしょうか?

 

2012年発表された「General health checks in adults for reducing morbidity and mortality from disease Cochrane Database Syst Rev. 2012 Oct 17;10:CD009009 PubMed PMID 23076952」この論文を見てみますと…

 

現時点での科学的な意見としては、「健康診断を受けても総死亡、心血管死亡、がん死亡は同等」と言えそうです。

「General Health Checks 」というのは、「健診」に該当するもので、「検診」ではありません。「健診」と「検診」は違うのか!?という声が聞こえてきそうですwww

そうなんです。違うんです。

 

 

 

健康診断の健診と検診は違う

・健診:健康診断の略です。漢字の通り、健康であることを前提に診断(チェック)するということです。つまり、「健康だよね」と保証するものなんです。なので、法律で定めている健康診断は、労働者が健康だよねという前提に経つものなので、こっちなんです。

・検診:漢字の通り、検査をやって診断(チェック)するというもの。検査をするということは、元々何かを疑ってチェックするわけです。例えば、がんの場合は、一定の確率で病気が発生する前提で検査を実施しますよね。なので「がん健診」ではなく、「がん検診」なんです。

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↓↓↓ちなみに論文ではここに該当します。あくまでも一般的なスクリーニングとして実施た場合とあります。

"health checks with no health checks in adult populations unselected for disease or risk factors. Health checks defined as screening general populations for more than one disease or risk factor in more than one organ system."

 

 

 

健康診断やっても死亡率・心血管死亡・がん死亡は変わらない

あちゃぁ〜。2012年ってほんの5年前のエビデンスです。

16の研究のうち、イケている14のデータ(18万人)です。9つの研究で死亡率をみていて、0.99のリスクということはほとんど変わらんっちゅう話です。また8つの研究では、心臓による死亡1.03倍、がんの死亡1.01倍という健康診断をやっても効果があがらなかったことを言ってます。

その中の1つの研究に、確かに健診をやると6年間の間に20%の新規診断がひとりあたり増えるようです。4つのうち2つの研究では、高圧薬の使用頻度が高まったようですwww

 

 

 

健康診断をある意味はないのか?

この研究だけを見れば、健康診断をやっても製薬企業と健診センターが儲かるだけでしょと思われるかもしれません。繰り返しの注意事項になりますが、この2点は抑えておいて下さい。

1.あくまでも健診であって検診ではない

→ 子宮頸がんや乳がん検診は行きましょう

2.法定健診は労働安全衛生法に定められた働く人の義務です

→ 社員の健康へ配慮する義務から企業は社員の状況を把握する義務があります。なので法定健診は必ず行って下さい。

 

 

 

最後に

最後に、わたしからのアドバイスを。

法定外の健康診断(人間ドック)が無意味かと言われると、研究からは意味がないとなっています。でも使い方があるのでは?と思っています。つまり「健診」を「検診」のような使い方をすることでより活用されるのだと思います。

つまり、漫然とフルセットで人間ドックを受けるのではなく、どんな検査するのが、自分にとって良いのか決めましょうよと。でもそれって難しいですよね。一般的には、やっぱり家族歴は超重要です。だってあなたの遺伝子にすでに「病気」を発症させる可能性のあるものが運命的に入っていますので。

乳がんのお母さんをもつ女性は、乳がん検診を。

胃がんのお父さんをもつ40歳の男性は、胃がん検診を。

 

ではでは〜。

Have a wonderful weekend!! ciao!