☆ わくわく働くひとを応援する産業医のブログ ☆

わくわく働く社会を創る。そう決めて起業しました。社内ヘルスケアだけでなく人事総務の領域全般、医療や病院管理とお話しましょう。

ポジティブ・シンキングの幻想

ボジティブ・シンキング至上主義アメリカ

ポジティブ・シンキングが最も良いことだと小さい頃から教育されている代表的な国がアメリカです。ネガティブな考え方を極度に嫌がりますよね。
 
これもアメリカン・ドリームを勝ち取るためには、不可欠なマインドなのでしょうか。
 
ここで言うポジティブ・シンキングといっているのは、あくまでも「なんとかなる」、「大丈夫だ。必ず乗り越えられるはず」といった日本的に言えば「楽観主義」のことを言っています。
 
もっと楽観的に考えた方がよいんじゃない?シリアスに考え過ぎだとアメリカ人の友人に言われる中で、わたしが様々なビジネスマンと対面して結果を残しているひととは何かが違うといつも思っていました。
 
本当にポジティブ・シンキングであれば、幸せになる、成功するのでしょうか?
 
 

ポジティブ・シンキングの限界

ポジティブ・シンキングは、ひとは楽しく生きる上では、間違いなく必要なマインドだと思います。
 
ムダな悩みや不安に苦しむよりも楽しく楽観的に考えている方が明らかに同じ時間を過ごすにしても人生に対しての満足感が違うからです。
 
 
否定はしません。
 
でもポジティブ・シンキングだけでは決して幸せになれないと私は断言します。
 
ポジティブ・シンキングの最大の弱点は、その持続性の難しさにあります。
 
特に極限の状態や極度にストレスがある状態でのポジティブ・シンキングは致命的になります。
 
ヴィクトール・フランクルアウシュビッツ強制収容所の話でも同じようなことが書かれています。
 
アウシュビッツ強制収容所のような生死が隣り合わせの状況の中、サバイバーはどのようなタイプの人間なのか、教えてくれています。
 
そう、「楽観主義者」VS.「現実主義者」です。
 
楽観主義の方が、こういう状況では生き残ると皆様は思うかもしれませんが、実際は現実主義者でした。
 
わたしが産業医の面談をしている中で、このひとは心底出来る!必ず成果を出すだろうと思うひとも比較的に現実主義者であることが多いです。
 
 

楽観主義者=ポジティブ・シンキングの特徴

楽観主義者の特徴としては、さきほども書いたように「なんとかなる」、「必ず好転するはずだ」と自分に言い聞かせることにあります。
 
何とか自分に繰り返し繰り返し、きつくなればなるほど言い続けるわけです。
でも状況が変わらないとどうなるでしょうか?
 
そうです。
 
心がいつか折れるわけです。アウシュビッツ強制収容所でも同じようなことが起きていたようです。
 
12月になったら、クリスマスになったら、正月過ぎたら連合軍が助けに来てくれると楽観主義な方々は思っていたようです。でも実際は、来ません。
 
そうなるとこころが折れてしまい、メンタリティを維持することが出来ません。極度のうつ状態と不安感が一気に高まり、正常な判断ができなくなるようです。
 
一方、ビジネスマンも同様です。
 
比較的、業務量が多い時や非常に負担感の強い業務を担っている時、ひとは目の前のことに忙殺されます。
 
ポジティブ・シンキングの社員は、なんとかなる、何とか自分でやると言い聞かせるわけです。
 
ところがそれが3ヶ月も6ヶ月も経てば、不眠症が出現し、抑うつ状態、うつ病となるわけです。既に悪い負のサイクルが始まっているのです。
 
 

ポジティブ・シンキングはそんなに悪いことか?

ポジティブ・シンキングは何度も言うように決して悪いわけではありません。
 
使い方が間違っているのです。
 
ポジティブ・シンキングが最高に効果的な場面というのがあります。
 
それは、「普段の日常」です。
 
普段の日常のあらゆることには、ポジティブ・シンキングであった方が、本当に心ゆたかになります。
 
しかし重要な仕事があるときやある程度長期戦になるような業務については、ポジティブであるよりもリアリスティック(現実主義)であった方が、確実に成果がでます。
 
 

現実主義=リアルに考えることの重要性

「平時は楽観的に、有事は現実的に」が良いわけです。
 
その理由は簡単です。
 
有事は現実的に、「その環境の中で自分という存在は何が求められていて、何を達成できるだろうか」といった質問が最も適します。
 
アウシュビッツ強制収容所の件で言えば、既に収容所内にコミュニティがあるわけで、そのコミュニティの中で自分はどんな役割を果たすべきか、ということを考えるということです。
 
そこに生きる存在意義があるからです。
 
しかもこちらのほうがコントロールできない不安から身を守ることができ、さらに自分の考えが入り込みすぎて視野が狭くなって解決できる問題も解決できないということを避けることがしやすいからです。
 
そうなのです。
 
ポジティブ・シンキングが悪いのではなく、使う場面を考えること。
 
「平時は楽観的=ポジティブに、有事は現実的=リアルに」考えるようなバランスこそが、持続的な成果と望むような結果をもたらすのです。
 
 
それでは今日もわくわく働きましょう〜!
 
ciao!!!