☆ わくわく働くひとを応援する産業医のブログ ☆

わくわく働く社会を創る。そう決めて起業しました。社内ヘルスケアだけでなく人事総務の領域全般、医療や病院管理とお話しましょう。

もしかして皆様、花粉症で血液検査を受ける必要あるって思っています?

わたしの花粉症先週辺りからかなりひどくなってきました。

満員電車でつつーっと鼻が垂れてくるのを必死に止めるのは至難のわざです…

 

同僚が、花粉症で悩まされ、先日クリニックにいったところ、アレルギーの検査をススメられ、それを受けるかどうか悩んだとのこと。

 

ちょうど手持ちが5千円しかなかったということで、検査を受けなかったようだが、そもそも大人の花粉症で血液検査を受ける必要があったのかということ、今日はテーマにしたいと思います。

 

 

花粉症はアレルギー反応…ですよね

花粉症はアレルギー反応です。当然です。

それは、異物が体内に入ることで免疫が高まり、リンパ球がIgE抗体を作って・・・という話です。

 協和発酵キリンHPがわかりやすいのでこちらも見て下さい。

 

f:id:wakuwaku-work:20150228124355p:plain

このIgE抗体を測定する検査をススメられているのです。

 

 

花粉症の検査にはどんなものがあるのか?

・鼻汁中好酸球

鼻汁を綿棒で拭って、花粉症で増加する鼻汁中の好酸球数をカウントします。

花粉症だけでなくても、気管支喘息でも測定する場合があります。

 

・スクラッチテストやプリックテスト

花粉エキスを腕に1 滴たらし、針で軽い傷をつけて、皮膚の膨疹や発赤の有無をチェック。費用は安価・判定時間は15分程度ですが、なかなかやっているクリニックはないかもしれません。皮膚科ではやっている場合があります。

 

・血清特異的IgE抗体定量

血液の中の血清に含まれる花粉に特異的なIgEの値を見ます。

こちらは簡単なのでCAP-RASTやMAST33というような血液検査で知られています。MAST33には、花粉症だけでなく、食品などもチェックできるスグレモノです。

1,430点なので、14,300円かかり、3割負担で4,300円くらいでしょうか。

 

・鼻誘発テスト

花粉エキスを鼻の粘膜に付着させ、症状を中心に、発生の有無を観察するものです。

f:id:wakuwaku-work:20150228125611p:plain

 

 

医療の大原則、治療方針の変わらない検査は行わない!

これは、医療現場では当たり前のことになっていますが、治療方針を変えないような検査というものは、意味がありません。

検査というのは、診断に結びつけ、診断するからこそ治療方針が立てられるのです。

 

例えば、インフルエンザが大流行しているときに、突発的な発熱、筋肉痛、関節痛があって、子どもがインフルエンザでした・・・というひとにインフルエンザの鼻チェックをする意味がありません。

なぜならその段階でインフルエンザである「確率」が極めて高いからです。

 

おとなの花粉症にアレルギー検査をする意味

「治療方針が変わらない検査はする意味がない」と言いましたが、花粉症で最も困っているのは、「その症状」です。その症状に対して、抗ヒスタミン薬や点鼻薬を使って治療をするわけです。

花粉症の方は、基本的に毎年同じシーズンに同じ症状をきたします。

アレルギー検査を実施して、仮に検査で陰性であっても、陽性であっても、お薬で治療は開始するわけです。

なので、わたしはおとなの花粉症にアレルギー検査をする意味はないと思っています。

 

ただし小児の場合やおとなの蕁麻疹、食物アレルギーのチェックという観点では、ばく露をさけることで発生を防ぐことができますので、実施する意味があるかもしれません。

 

 

花粉症と風邪の違いがわからないから実施する!?

これも良く聞かれる内容です。花粉症のシーズンに風邪にかかることはあるでしょう。こちら、結局のところ使用する大薬は変わりません。

基本的に分泌物をおさえるために同じお薬を使いますので、大丈夫です。

風邪であっても花粉症であっても、生活に支障をきたさない場合であれば、医療機関に行く必要はありません。

 

あえて違いを知りたいということであれば、鼻水の色や症状出現期間の違いで見分けると良いでしょう。

花粉症は、基本的に分泌物は無色透明で、風邪やバイ菌による感染であれば、色が黄色、緑色になっています。また風邪であれば、数日で症状は改善されますが、花粉症は通常1−2ヶ月にわたって続きます。

 

以上ですが、あくまでも私個人の見解です。

主治医ともよーく相談して下さい。

 

 

【MAST33の項目一覧】

1:オオアワガエリ
2:ハルガヤ
3:カモガヤ
4:ブタクサ混合物1
5:ヨモギ
6:スギ
7:ヒノキ
8:ハンノキ
9:シラカン
10:コナヒョウヒダニ
11:ハウスダスト
12:ペニシリウム(カビ系)
13:クラドスポリウム(カビ系)
14:カンジダ(カビ系)
15:アルテルナリア(カビ系)
16:アスペルギルス(カビ系)
17:ネコ皮屑
18:イヌ皮屑
19:小麦
20:大豆
21:米
22:マグロ
23:サケ
24:エビ
25:カニ
26:チェダーチーズ
27:ミルク
28:牛肉
29:鶏肉
30:卵白
31:ソバ
32:ピーナッツ
33:ラテックス

 

その他のトリビア 

・舌下減感作療法を実施すると、アレルギー性鼻炎の症状が軽くなり、お薬を使用するひとが少なくなる(2010年 Cochrane)

 

あああ〜今日も鼻が痒くてたまらない!

でもわくわく働きましょうねぇ〜!