社会で生きにくい心のなかの両価性
両価性 Ambivalenceとは?
「両価性」という聞きなれない言葉ご存じですか?
われわれのように心療内科や精神科では良く使われる言葉なのです。
統合失調症の患者さんにこのような考え方が出ると言われています。
「両価性」とは、文字通り”相反する価値観が同じくらいの重要度で存在する”というものです。
これって辛いんですよ。相反する気持ちがあってどちらも捨てられない状況。
究極の選択を迫られているのです。
現場で感じる両価性のひと
心療内科や産業医面談でこの「両価性」を感じる方々というのは実は、非常に多くいます。狭義の「両価性」ではなく、広義に考えれば優先順位を決められず、いつまでも悶々とした気分になっている状況です。
それは「適応障害」という形として顕在化するわけです。感情的に不安定になり、気分もそれよって引きずられます。
だからうつ病や適応障害、不眠症、パニック障害、パーソナリティ障害といった診断名でみることになります。
まわりも熱心に「こうしたら良い」と一生懸命にアドバイスをするのですが、両方が大切なので意思決定をすることが出来ません。
問題はどんどん山積します。
両価性の逆サイドにいるひと
両価性をもつひとは、「何を残して、何を捨てられるのか」という意思決定をすることができません。
社員の方を話していても、しっかりと「今」は何が捨てられるのかと常に状況を判断して変えられる社員は、ハイパフォーマーとされています。
ハイパフォーマーの方々の多くは、実は非常に忙しいのではなく、捨てることができるために比較的時間に余裕があったりします。
両価性をどうやってなくしていくのか
これは非常に難しいのですが、働くひとでこのような状況にある場合、目の前のことに没頭していて、正しい情報を正しく受け止めていないために発生していることが多いです。
なので、まずやることは、「全体像」を一緒に紙やホワイトボードで可視化・具現化してあげます。
さらに時間軸、タイムラインという概念がすっぽり抜けていることが大半です。
その場でどうにかしないといけないといった中長期的な視点が抜けているのです。
だから「ゴール」ってなんなんだっけ?といった質問を繰り返すことで中長期的なタイムラインを意識させると意思決定がしやすくなります。
場合によっては、決められない両方のメリット・デメリットを箇条書きにします。それらの点数をヨコに、メリットであれば”+2点”、デメリットであれば”ー3点”という風に記載して、合計点でどちらがよいのか、えいやで最後は決めるやり方もあります。
社会で生きていく上で重要な「捨てる」作業
小学校から大学までは、そんなにこの両価性という問題で悩むような状況は発生しません。
社会に出て、理不尽が当たり前、不平等が当たり前という中で、理屈抜きの感情が出やすい状況になって始めてこの問題が出てきます。
そのときには普通、当たり前のようにできる「捨てる」作業が過剰なストレスによって誰でもこのような状況になりうるのです。いわゆる「入り込んじゃっている」状況です。
これが過度に発生すると、本当に辛い生きにくい人生になってしまいます。
なので、同僚や友人が元気なく、相反する感情で悩んでいる時は、その背景となるストレス要因やゴールを設定を一緒に考えてあげることで回避できるものです。
だれでも発生しえます。わたしもありました。
でもやはり友人に話すことで、それを乗り越えることができるのです。
それでは今日の休日わくわくした1日を送って下さい。
月曜日からまた頑張るためのリフレッシュを忘れず!
わたしも朝からジョギング、家の掃除などマッハで終わらせてプライベート充実させます!