☆ わくわく働くひとを応援する産業医のブログ ☆

わくわく働く社会を創る。そう決めて起業しました。社内ヘルスケアだけでなく人事総務の領域全般、医療や病院管理とお話しましょう。

感情のコントロールをしたいとそのひとは産業医面談を依頼した

おはようございます!

今日は皆様は、どんな土曜日を過ごされるのでしょうか?

やっぱり4月に入ってどの会社も新入職者のオリエンテーションや職場の環境変化でてんやわんやですね。GW後には落ち着くと良いですね。

 

今日は、そんな中で産業医面談を行ったひとの話をしましょう。

 

 

感情のコントロールをしたい29歳の男性

29歳男性。IT企業で働く彼は、ある部署のサブリーダーとして13名の部下(同僚)をひっぱっていた。比較的新しい部署で、3年前に彼は前職の上司から誘われて入社。その上司の下で頑張っていたが、昨年秋に優秀な上司は退職。その優秀な上司が後任として指名したのが、現在の上司(リーダー)なのだが、後から入社したこともあり、チームとコミュニケーションが取れず、なかなか自分の意見を言わないようなひとだった。

そんな中、チーム内にネガティブ発言を繰り返す女性2人がいた。その中のひとりとは、ことある度に意見の衝突をするため、チームでも気を遣われているまでなっていた。

この女性は、ミスを指摘するとすぐに感情的になってしまい、涙をこらえることが出来ず、長時間トイレに入ってしまうということだった。働く姿勢を気にする彼は、彼女のスタンスが気に食わなくて仕方ない。目についてしまう状態で、感情をコントロールすることが難しくなっていた。

 

 

感情のコントロールの方法を教える前に評価をする

そんな中、本人から産業医への面談というよりは、アドバイスがほしいということで依頼があった。

彼は見るからにナイスガイ。でも話を聞いていると体育会系の完璧主義がある様子。

そりゃあイライラするだろうなぁというのが印象でした。つまり自分がハイパフォーマーで自立して意欲的に働いているために、他の人にもそれを求めてしまい、結果として達成できないひとに対してイライラしているのです。

このようなタイプは、比較的マネージャーや部下をもった時に大変苦労するタイプです。出来の悪い部下や働き方のスタンスの違う部下はいくらでもいるわけです。そうすると「こうあるべきだ」という形で本人へ言うことで益々距離が発生するわけです。

結果としてチームとしての成果を出すことが出来ません。

 

彼の課題(評価)は

① 完璧主義の傾向にある

② 上司が役割を果たしていない

③ 感情的(イライラ)になることで業務に少なからず影響している

④ 衝突することで周りへ影響している

でしょう。

 

 

感情のコントロールの方法の前に現状の満足度をあげる

彼には、いくつかの方法を教えました。しかしそれ以前に「世の中そんなものだ」という印象をうえつける必要があります。

 

彼:チーム13名のうち、5名が仕事への姿勢が物足りないんです。5名はスキルもスタンスも良いのですが、3名はスキルはあるもののスタンスは普通です。

 

私:えっ!?◯◯さん。凄いチームですね!13名中、高スキルなのが8名なんですか!それは凄い。仕事への姿勢も5名が良いのであれば、そんなチームは最高ですね!

 

彼:えっ?

 

私:だって世の中13人いたら、スタンスもスキルもあるひとなんてこのうちの3人くらいですよ。それでスキルあるひとが3名くらい、スタンスのみがあるのが3名くらいでしょうか。出来ないひとも4名くらいいるのが「普通」ですよ。「普通」。世の中、出来ないひとがいないなんてあり得ないでしょ?

 

彼:はぁ。これって普通なんですか?むしろ良いんですか!?

 

と彼はびっくりするわけです。

このような完璧主義傾向にある社員は、「現状が最高に良い状態」なのだ、「通常よりも格段に良い状態だ」と伝えてあげるだけで満足感が高まります。

 

 

感情のコントロール方法を伝授する

彼はそのうえで、自分の感情をコントロールしたい。そうしないとチームへの影響が出ているということだったので、いくつかの提案をしました。

 

① 部署としてのゴールを再度確認し、それを意識すること

② 部署として譲れないルールをチームで話し合って決めること

③ 上長として伝えないといけないことは「I message」で伝えること

④ 相手の言動に対して敏感に反応し、感情的になった場合、10秒を数えること

⑤ 「なぜ」を「どうやったら」にコメントの出だしを変える

 

感情のコントロールというとアンガーマネジメントのように捉えることもできますが、外せないのが組織のゴールと個人のゴールを再認識することです。彼が、彼女に対して感情的に衝突することはチーム全体としての成果としては、下がるわけです。彼は、チームを引っ張っていく必要があるわけです。このチームのゴールを意識することは非常に重要です。

同時に、上司としての役割を果たすことも必要です。我慢をしてしまうと彼にとっても彼女にとっても良くないことです。言い方を気をつけながら伝えるのも見逃せません。そのためにも部署内で一定のルールを決めると動きやすくなります。つまり彼女がそのルール内で行動しているのであれば、それは見逃すべきだということが言えるからです。

 

そして感情的になった時の必殺技。心のなかで「いち、にい、さん・・・じゅう」と数えましょう。感情は一過性なことがほとんどだからです。

そしてゴールを意識する魔法の言葉。「どうやったら・・・」という表現を頻用することでより建設的な話合いができるようになります。「なぜこのミスが発生したのか」ではなく、「どうやったらこのミスを防げただろうか」とするだけでだいぶ違いますよね?

 

彼は、わたしと話し合って「相談して良かったです」と言って仕事に戻って行きました。その後は、まだ彼と話をしていないのでどうなったのかはわかりませんが、感情のコントロールには、「自分の行動を変える」要素と「自分の方向性を意識する」要素の2つを考える必要があります。

 

以上、東急エージェンシーの新卒採用「顔採用」で自分の写真の判定が「こだわり顔」というなぞのコメントをもらった土曜日でした。

ただし、「情熱」×「親しみやすさ」×「実行力」が検出されたとあってややウキウキな気分でもあります!

今日は「感情をコントロールする」ことに関してでした。

 

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ciao!!!