巨大マグロの番組から見る結果を残すひとの特徴
巨大マグロは、いちかばちかの博打のようなもの!?
昨日、娘と一緒に大間の巨大マグロ漁師のドキュメンタリーを見ていたときに気がついたんです。そう、”例の”巨大マグロ漁師にフォーカスした番組です。
別次元のはなしのようで、なんだかんだで見てしまう。
しかし昨日の番組はいつもとは違う面白みがありました。
わたしは仕事柄、どういう仕事の仕方をしているのかにとても興味があります。
どんな仕事内容で、どんな上司と同僚、部下がいて、派遣さんやパートさんとの関係、どのような1日で仕事がこなされていくのか、どういうことが評価されるのか。
マグロ漁師にとっての「評価」は、間違いなく「マグロを釣る」ことにあります。
しかも「重さ」が市場価値に反映されるため、いかに大きいマグロを仕留められるかが、「結果を残す漁師」かどうかを決めるわけです。
28歳のちゃらい若手漁師と61歳のベテラン漁師
今回は、28歳のちゃらい若者の漁師と61歳のベテラン漁師にフォーカスしていたのがとても興味深いところです。
若い漁師は、漁師になりたくなったわけではないが、「たまたま」漁師の仕事をやったときに面白くなり、やり続けていると言っていました。
かたやベテラン漁師は、40年以上の経験のある漁師。
若い時に離婚してふたりの息子をオトコでひとつで育て上げたという漁師。
「面白い」ではなく、「仕事」として漁師をやっている・・・プロなのです。
さて普通では、当然ベテラン漁師のほうが「凄い技」や「凄い勘」をもちあわせて圧勝してくれるのかとおもいきや番組の方向としては、全くの逆。ベテラン漁師は、3年間マグロが釣れなかったという大のスランプ持ち、家に帰るとひとりでタバコをスパスパしながら過ごしているのです。
若手漁師は、父親を尊敬しながらその姿を追いかけ、そしてひとりでマグロを確実に仕留めていく…漁がおわるとスナック風カラオケでお酒を飲みながら和気あいあいとしているわけです。
そして結果を残しています。
単調な仕事生活に甘える
この結果につながらない違いについておもわず普段の産業医面談の中で、結果を残す社員と残せない社員がいることと同じなのだと気がついたのです。
マグロ漁師にとって最も大事なのは、マグロが多くいる「市場」をさまざまな情報から抽出し、その「市場」にどのくらい競合がいて、その日勝ち抜けるかを見極めるようです。
漁場には、他の多くの漁師がいるわけでその中には釣り方の得意分野もあります。今日の漁日が自分にとって得意というものであれば、勝負に出るのでしょうか!?。
「漁場(市場)」が決まれば、つぎにいよいよイカやサンマに針をつけて、船から海へ。これもこだわりがあるようです。
そして待っていると一定の確率で”ヒット”します。
ヒットしてからも慎重にマグロと押し引きを繰り返しながら最終的に電気ショックでしびれさせて引き上げるという流れのようです。
そう、ここで61歳ベテランの漁を見てみましょう。
彼は、サンマを使うのと疑似餌を使うのが得意なんです。もちろんそれを使って漁をしています。
しかしここでド素人のわたしからみても彼の仕事っぷりは、仕事に対して「適度な緊張感」を持っていないのです。
それは、
- 餌の選び方を他の漁師を見てから変更す→自分の強みをなくし、意思決定をぶれさせる
- ”ヒット”してからのアクションが大きい→糸を手繰り寄せるモーションが大きく、疲れやすい(腰に負担のかかるような姿勢で作業をしている)
- 電気ショックの糸が絡んでマグロに届かない→糸が絡まないように準備していない
といったところから28歳の若手漁師と比較にならないくらいに欠如しているのです。それが40年間マグロ漁をやっているというプライドかもしれないが、一方で「単調な仕事生活に甘え」ているともとれました。
逆に、若手漁師は自ら教えられたやり方を粛々と(ちゃらちゃらと!?)準備し、”ヒット”がきてからの糸の手繰り寄せ、マグロとの駆け引き、電気ショックのタイミングと全てが”美しい”作業の中で行われていたのです。
ムダのない業務の流れは美しい
産業医や心療内科でひとと接すると「ムダのない業務」をしているプロの社員の方も大勢います。
そのような社員と向き合う時に出てくるコメントが、「仕事を楽しんでいる」、「わくわく」しているということなのです。
ベテラン漁師にある「単調な仕事」は、このような「わくわく」を忘れたときに、すでに結果を残せない漁師になっていくのだと改めて感じました。
やっぱり巨大マグロ漁の番組は、毎回が同じであっても面白いですねぇ〜。笑